前回の開発者レターでは、「不見山」に点在する仕掛けについてお話ししました。街角や工房、そして田畑のあちこちに張り巡らされた仕掛けは、今や墨山道の弟子たちにとって、日々の暮らしの一部となっています。
Ver.2.0で描いた主軸が「不見山へ足を踏み入れること」だったとすれば、Ver.2.1で私たちが探求したテーマは、「つながり」です。不見山を巡る流水の軌道は、城内のさまざまな場所をつなぎ、仕掛けを動かす力となるだけでなく、田畑を潤す水も運んでいきます。流水の軌道を修復していく過程を通して、侠客の皆様には、「不見山」という世界が少しずつひとつにつながっていく様子を、実際に感じていただけると思います。また、高低差の大きな地形に対応するため、奇術と建造を組み合わせ、従来の「摂星摘月」の操作体験にも調整を加えました。そしてVer.2.1では、この「つながり」が、全サーバーの侠客の皆様が力を合わせて修復に挑む「昇降機」という形で、さらに広がっていきます。
しかし、私たちがここで表現したかったのは、ただ「途切れた道をつなぎ直す」ことだけではありません。「不見山」という地を通して私たちが問いかけたかったのは、「今、この時」に答えを得られなかった問いにも、なお、世代を超えて問い続けていく価値はあるのだろうか。
Ver.2.1の開幕とともに、全サーバーの侠客の皆様には、天谷へと続く「昇降機」の共同修復に挑んでいただくことになります。私たちが天谷の開放を全サーバーによる共同修復に託した理由――それは、「道をつなぎ直す」という営みそのものが、この物語の大切な一部だからです。
かつて山門を閉ざしていた不見山が、再び外界とのつながりを取り戻すために。その第一歩は、いたって明快です。まずは、途切れてしまった道を、もう一度つなぎ直すこと。全サーバーの侠客の皆様の力によって共建が完了したその時、侠客の皆様は再びつながった山道を進み、未知なる領域「天谷」へと足を踏み入れることができます。
「天谷」――それは、天へたどり着くための、深き谷を意味します。千百年の間、墨者たちはこの地で星を仰ぎ、図面を引き、木を削り、飛行を試みてきました。彼らが空を見上げた時、そこには、ほとんど執拗とも言えるひとつの問いがありました。「人は、自らの手と技だけで、あの空へ飛び立てるのだろうか?」
天空への憧れと、空を飛ぶという想像は、古くからさまざまな文明の中で育まれてきました。古代ギリシャ神話では、名工ダイダロスが自らとイカロスのために翼を作り、人の技によって空へ飛び立とうとしました。また、中国の古籍『墨子・魯問』にも、公輸班が竹や木を削って木鵲を作り、三日間飛ばしたという逸話が残されています。遠く隔たった土地でありながら、人々は皆、同じ空を仰ぎ、それぞれの方法でそこへ近づこうとしていました。ひとつの事象が持つ意味は、必ずしも、それが生まれた時代だけで決まるものではありません。一見すると無謀、あるいは無用に思える構想や試みであっても、長い年月を経て後世の者へと受け継がれることで、やがて別の「答え」へとたどり着くことがあります。
だからこそ、千年の時を越えた今、私たちは墨山道の山頂に、巨大な木鳥を残しました。『風燕伝』の時代に至っても、その木鳥が真に大空へ舞い上がることは叶いませんでした。
けれど、今を生きる私たちにとって、古人が空を見上げて投げかけた問いには、幾度となく飛行と上昇を重ねる中で、すでにひとつの答えが示されています。文明が前へ進んでいけるのは、誰か一人が孤独に終着点へたどり着いたからではありません。先人が残した問いを受け取り、その情熱の灯火を次の世代へとつないでいく者が、いつの時代にもいるからです。
「天谷」では、侠客の皆様が雲煙たなびく断崖と古の遺構の間を進みながら、かつて描かれた「飛天の夢」がなぜ途絶えてしまったのか、かつてここにいた人々は何を遺したのか、そして、なぜ今なお誰かがこの地に留まり、後に続く者がその問いに答える時を待ち続けているのかを、ひとつずつ解き明かしていくことになります。

天工閣の地下深くには、長きにわたり封じられてきた仕掛けの秘地「大衍の迷陣」が眠っています。ここはもともと、墨門が後世の者たちを試すために設けた場所でした。しかし、やがて「封山の論」が盛んになるにつれ、前代の巨子は墨家の武術と仕掛け兵器をこの地に封じました。以来、長き歳月にわたり、「大衍の迷陣」は静かに眠り続けていたのです。
けれど、私たちがここで描きたかったのは、複雑な過去の逸話を語ることだけではありません。何よりもまず、侠客の皆様の記憶に強く残るような、印象的なステージ体験を届けたいと考えました。「大衍の迷陣」を設計するうえで、私たちが軸に据えたのは、「榫卯で組み上げられた迷宮は、いかにして動くのか」という発想です。
迷陣を構成する壁や梁柱、そして通路は、木組みの「榫卯」によって互いに噛み合うように組み上げられています。そこから私たちは、改めて「つながり」というテーマに思い至りました。榫卯の巧みさは、ひとつひとつの部材そのものにあるのではなく、それらがどのようにつながり、互いに作用し合うかにこそあります。そこで私たちは、この関係性を空間全体へと広げました。壁や梁柱、通路が絶えず昇降し、位置を変え、回転し、そして再びひとつの構造へと組み上がっていきます。さっきまで壁だった場所が、次の瞬間には通路へと姿を変えることもあれば、すぐ目の前に見えていた出口が、構造の変化によって再び姿を隠すこともあります。
そのため、侠客の皆様には、刻一刻と変化する空間の中からその法則を見つけ出し、仕掛けが交錯する瞬間を見極めながら、迷宮を進んでいただくことになります。道中には幾重もの障害が待ち受けており、時には戦いの最中でさえ、周囲の環境の変化に目を配らなければなりません。視覚的に変化していく空間、出口を探し求める探索、そしてその中に織り込まれた戦闘。それらが重なり合うことで、「大衍の迷陣」ならではのゲーム体験が形作られています。


私たちにとって、オープンワールドとはひとつの「舞台」にほかなりません。ストーリーとゲームプレイは互いに響き合うべきであり、野良首領にもまた、それがどの土地から生まれた存在なのかを感じられる個性があってほしいと考えています。河西の地を皮切りに、私たちは野良首領に、より豊かな物語性と地域性を持たせる試みを続けてきました。そしてここ「不見山」では、首領も当然ながら、墨山道ならではの「仕掛け」の特色を携えて登場します。そうして生まれたのが、「篤墨蠍」と「拏雲蛇」です。
「篤墨蠍」は全身を重厚な甲殻で覆い、二本の鋏で正面を封じる一方、背後に潜ませた蠍尾で隙をうかがい、奇襲を仕掛けてきます。薙ぎ払い、重い一撃、そして毒による攻撃が次々と押し寄せ、その戦いはまるで、自ら反撃してくる鉄の要塞を相手にしているかのようです。一方、「拏雲蛇」にはまた異なる性質があります。幾重にも連なる環状の関節が長い身体を形作り、山間を自在に、そして素早く駆け巡ります。
一方は崩しがたく、もう一方は捉えがたし。「篤墨蠍」と対峙するとき、侠客の皆様には、いかにしてその堅牢な守りを崩し、戦況を切り開くかが求められます。「拏雲蛇」と相まみえるときには、絶えず変化するその位置と攻勢を見極め、追い続けなければなりません。

私たちにとって、キャラクターもまた、ゲームのテーマを表現するための大切な手段のひとつです。登場人物たちがそれぞれの流儀で日々を生き、プレイヤーの皆様が彼らの行動や交流を通して「つながり」を感じ取っていきます。
山谷の奥深くに位置する「晦谷」は、墨山道にとって重要な仕掛け工房のひとつです。精錬や研磨、採掘を担う区域が谷に沿って広がり、水車や配管、さまざまな機械が昼夜を問わず動き続けています。ここでは少しゲームプレイのテンポを緩め、自ら楽しみを見つけることに長けたひとりの工匠に、スポットライトを当てることにしました。
――彼の名は、「お八」です。
赤いマントを纏い、いつも満面の笑みを浮かべているお八は、自らを晦谷の「天下一快楽工匠」と自称しています。彼もまた仕掛けに夢中なひとりですが、彼の作るものには、どこか遊び心が感じられます。「無人商人」も、そんな彼の手によるものです。「妙哉洞窟」には、いったいどれほど奇妙で役に立つ発明が隠されているのでしょうか。その答えは、ぜひ皆様自身の目で確かめてみてください。もちろん、道中にはいくらか危険も待ち受けています。それでも、侠客の皆様の賢さがあれば、きっと無事に乗り越え、楽しい旅の中のちょっとした出来事として受け止めていただけるはずです。

天谷を吹き抜ける風は、いまや山と海を越え、ドイツ・ケルンの地へと向かっています。
昨年、私たちは会場で『風燕伝』のTシャツを着ていました。すると、フランスからわざわざドイツまで、私たちを探しに来てくださった一人のプレーヤーが、私たちを見つけ、ブースの場所を尋ねてくれました。
当時はまだゲームのリリース前で、私たちには出展するための十分な資金もありませんでした。申し訳ない思いを抱えながら、私たちはこうお伝えするほかありませんでした。「今回はブースを出していません。でも、ゲームがリリースされたら、必ずまた来ます。」
それは私たちにとって、ひとつのささやかな「約束」でした。そして今年、私たちはその約束を果たします。
8月26日から30日まで、Koelnmesse ホール7.1のブース【B-050】にて、皆様をお迎えします。会場では、ブースで楽しめるイベントや最新バージョンのプレイ体験、コスプレイヤーとの記念撮影、オリジナルグッズなど、さまざまな企画をご用意しています。
会場へお越しの侠客の皆様は、ぜひお気軽にブースへお立ち寄りください。皆様と直接お会いできることを、心より楽しみにしています。
